インタビュー(前編) 「没後20年 特別展 星野道夫の旅」に寄せて 写真家・石塚元太良さん


「没後20年 特別展 星野道夫の旅」に寄せて

写真家・石塚元太良さん

(前編)


8月24日から松屋銀座を皮切りに全国4箇所を巡回する「没後20年 特別展 星野道夫の旅」がスタートし、連日多くの来場者で賑わっている。
この展覧会の写真監修のお手伝いをされた写真家の石塚元太良さんに、展覧会の経緯や見どころ、そして星野道夫さんへの思いを訊いた。


−−この展示の写真選定を監修された経緯を教えてください。

今回の展覧会の制作に携わる、編集者の松家仁之さんと星野直子さんから声をかけていただいたのがきっかけでした。星野道夫さんと僕の写真活動はアラスカというフィールドこそ同じですが、撮影対象やテーマはかなり異なります。そのため、星野さんの写真を相対的に見ることができるのではないかと思い、今回、展示の写真監修をさせていただくことになりました。

当初、僕は星野さんが「日本を代表する動物写真家」としてだけではなく、芸術面でも世界的な評価を受ける写真家のアンセル・アダムスやエリオット・ポーターにも比肩する「自然写真家」として捉えてもらうことができないかと考えていました。

そのため、今回僕の目指した方向性は、たとえ動物写真としては逆光で表情がよく見えない写真であっても、芸術性の高い写真を中心に据えた展覧会というものでした。つまり、写真1枚1枚が単独の芸術写真として成り立つものを第一に考えていたんです。

しかしこの方向のみで進めてしまうと展覧会の写真のセレクトが偏ってしまうと思い、松家さんや星野さんの奥さまの星野直子さんといった方々と幾度となく意見のすり合せを行いました。そうやっていろいろな話を聞くにつれ、星野さんの写真は見る人によって感じ方が大きく異なり、それが作品の深さや間口の広さに繋がっているのだと思うようになりました。その過程を経て、展示構成のバランスを取りながら写真のセレクトを進めていきました。




−−展覧会の章立てはどう決めていったのですか?

「イントロダクション」「マスターピース」「神話の世界」「星野道夫の部屋」の4つのセクションは比較的スムーズに決まりましたが、中盤の「生命と人の繋がり」については、どの写真をどう組み合わせて表現すればいいのか、非常に難航しました。

試行錯誤するなか、ある打ち合わせで「このセクションは作品をぐるりと見渡せる円筒空間にしてはどうか」という案が出ました。それによって、それまでバラバラだった写真と空間の構成が噛み合い、一気にこのセクションが動き始めました。展覧会のプランニングを振り返るとき、ここが大きなターニングポイントだったと思います。







後半へつづく

※各会場によって展示内容が変わる場合があります。

《プロフィール》
石塚元太良
1977年生まれ、写真家。 写真集『Pipeline Alaska』で東川写真新人作家賞受賞。最近の共著に『アラスカへ行きたい』(新潮社)など。「没後20年 特別展 星野道夫の旅」では写真監修に参加。2017年1月には〈Gallery 916〉で個展を開催予定。
http://nomephoto.net


没後20年 特別展 星野道夫の旅

2016年8月で没後20年を迎えるのを機に、星野道夫の「写真家」としての取り組み、 新しい挑戦、葛藤、心の内面を伝える展覧会を開催。

松屋銀座:2016年8月24日(水)〜9月5日(月)
大阪高島屋:2016年9月15日(木)〜9月26日(月)
京都高島屋:2016年9月28日(水)〜10月10日(月)
横浜高島屋:2016年10月19日(木)〜10月30日(月)

展覧会詳細はこちら



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Coyote No.59 特集:星野道夫の遥かなる旅

北の地に魅せられた星野道夫。
そこには悠久の自然と、その土地に生きる人々がいた。
彼らには厳しい自然と寄り添って生きるための、
智慧としての物語が数多く伝承されている。
星野道夫が亡くなって20年、
北の地の自然と神話の世界に分け入った彼の旅の軌跡を辿る。

本の詳細はこちら


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