写真家ロバート・キャパと恋人ゲルダ・タローの隠された物語に迫った『キャパの十字架』の刊行から二年。
ふたたび沢木耕太郎がキャパを探す旅に出る。
1913 年、ブダペストでエンドレ・エルネー・フリードマンはユダヤ人の洋服屋の息子として生まれた。写真家として人生を歩みはじめたのは 1931 年、彼は野心家で小説家や映画監督への夢も諦めきれずにいた。1933 年にパリへ渡り、その 2 年後の夏、彼はゲルダ・タローと恋に落ちる。
二人は自分たちの写真を高く売るために著名なアメリカの写真家 「ロバート・キャパ」を誕生させ、 二人の分身として名乗るようになる。まるで映画のような物語。当初二人には暗黙のルールがあった。キャパはたえず 「義」 の側に身をおいて取材撮影をすること。
沢木耕太郎は一冊のキャパの評伝の原書に出会い、レンズの交錯する二人の世界へと旅を始める。
ひとつの時代を捉え、見事に生ききった二人の物語を追走する。
『キャパの十字架』は 「崩れ落ちる兵士」 に登場する兵士、彼らの行動をひとつひとつ場所と時間を照合させ、点を結び、科学的な実証をもとに作品を分析して失われた時間を再現していく新しいノンフィクションのスタイルだった。
沢木耕太郎の四半世紀以上に及ぶロバート・キャパとゲルダ・タローを追った軌跡をここに特集する。
2015年3月15日発売
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travelogue
雨のパレルモ/北霊園/最後の一枚 16
文=沢木耕太郎 写真=ロバート・キャパ、沢木耕太郎
Robert Capa Photograps 写真=ロバート・キャパ 30
Gerda Taro Photographs 写真=ゲルダ・タロー 34
nonfiction
旅するキャパ 40
旅するゲルダ 56
文=沢木耕太郎
キャパとゲルダの足跡 軌跡と歴史 72
lecture
幻の丘を求めて 沢木耕太郎 78
book guide
今、明らかになるゲルダの肖像 96
Numbers tell a story
数字で見るキャパとゲルダ 98
book guide
沢木耕太郎とキャパの本 106
絵=赤井稚佳
for Readers 3
Photographer’s Short Break 112
春の旅を彩る 113
travel writing
朝吹真理子
がっかりがっかり おくのほそ道 深川 120
絵=原裕菜
小倉博和と1852年のマーティン・ギター 128
文=松家仁之 写真=福岡耕造
TRAVEL WITH GUITARS
ギターとともに旅に出る 134
酔狂 黒田征太郎
懐かしい人 中上健次の巻 138
水草物語 池田晶紀
第8回 氷の魔鏡 142
最初の一歩 第55回
温又柔 絵=後藤美月 158
片岡義男 大瀧詠一追悼
物語はこのように始まり、
このように終わる
成瀬巳喜男をめぐる 第2回 148