地球最北の集落を旅した遠藤励の写真展「北限の今に生きる」が開催

photographs by Endo Tsutomu



北極の姿から世界のいまを考える写真展
遠藤励「北限の今に生きる」が開催



Coyote No.65 特集:MOUNTAIN STORIES 一瞬の山 永遠の山』の連載「未来に残したい風景」でグリーンランドを旅した写真家の遠藤励さんの写真展「北限の今に生きる」が2018年9月14日(金)- 9月27日(木)の期間、東京ミッドタウンのフジフイルムスクエア内ギャラリーXにて開催されます。

写真家としてのデビュー以来取り組んできた雪をテーマに、今回は気候変動の影響と近代化急速に進む北極地方に焦点を当て、先住民集落として世界最北に位置する集落からグリーンランドの氷山などキャンプ生活を交え約1ヶ月半の撮影を行った遠藤さん。本展では主にグリーンランド北部に住む狩猟民族・イヌイットたちの現在の姿を、バライタ紙にプリントしたモノクロ作品を中心に36点が展示されます。

地球という大きな生命の仕組みの一部として生きるということや、北極地方にも押し寄せる消費経済にメッセージを込めたアート展とも呼べる写真展にぜひ足を運んでみてください。

■作家メッセージ
北極。海氷に閉ざされた海と極点を囲む陸地には広大な氷床と永久凍土が広がる。その多くが調査研究のなされていない地球上に残された未知の領域でした。しかし近年、各国の機関や研究者らが北極地方に注目しています。

その理由は地球の気候変動が最も出やすい場所である事と温暖化に伴う海氷融解により北極航路や海底資源 開発の可能性が高まった為。グリーンランド領域内には、中東地域に相当する膨大な油田があると予想され、厚い氷に閉ざされていた未開の資源には既にエネルギー産業各社が開発の権利を獲得しています。また、地球の水の97.5%は海水で淡水はわずか2.5%。その淡水の内の70%が北極や南極の氷として存在すると言われています。

しかし現在、北極地方ではその氷床の消失がかつてないスピードで進み、1996年以降、氷床の解ける割合は毎年7%ずつ増しているともいいます。それらは世界の気候に大きな負のインパクトを与え、近年頻発している洪水や異常気象にも関係しています。グリーンランド沿岸に位置する先住民族の集落でも海氷の融解で猟場や狩猟期間の減少、南部の魚がこの地方で獲れたりとその影響を受けていました。

また、流通が敷かれ次々に商品が投下された集落には消費マーケットが定着し、伝統的な先住民の価値観と暮らしが急速に変化しています。私はこの北極をめぐる状況に地球の未来に関わる重要なメッセージがあるように思えてならないのです。

遠藤励(えんどう つとむ)
1978年長野県大町市生まれ。スノーボード界に精通し雪山での撮影に特化。自らもプレイヤーとして90年代より安曇野のシーンの開拓や世界各地の雪山やコミュニティを訪れ、ボードカルチャーの潮流を20年間に渡り撮影。また、これまでの自然との対話から森羅万象と人の生き方に着目。アート表現の探求やネイチャー、カルチャーなど躍動するこの星の輝きと命との調和を求めて世界中の旅を重ねている。北極クラブ会員。作品集に「inner focus」(小学館)がある。

■ギャラリートークのご案内
展示作品を紹介しながら、撮影の背景を遠藤励が語ります。
日時:2018年9月15日(土)17時30分~
会場:富士フイルムスクエア内 ギャラリーX
定員:30名(先着順、参加無料)
在廊:9月14日、9月15日、9月16日は終日作家が在廊予定です。

<写真展情報>
遠藤励 写真展「北限の今に生きる」

会期:2018年9月14日(金)~9月27日(木)
時間:10:00~19:00(入館は18:50まで)会期中無休
会場:フジフイルムスクエア Gallery-X
   富士フイルム 東京ミッドタウン本社1階 フジフイルムスクエア内
入場料:無料
お問い合わせ
E-mail:fuji.gallery-x@fujifilm.com
Tel:03-6271-3782(10:00~18:00)




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