COYOTE No.51 (旅人のおかえりごはん)
旅の途上にて、人を勇気づけるのは食の記憶なのかもしれない。何を見てきたか、何を食べてきたのかが、旅人の顔を作る、とジャック・ロンドンが言う。ジャック・ロンドンは放浪時代、食料がなくなると、きまって貧しい家に行って物乞いをした。貧しい家こそ腹を空かせた旅人が最後の頼りにするところだ。本当に人の恵みを与えることができるのは労働で疲れきった顔の母親だった。金持ちのお慈悲はあてにできない。余分なものなどない貧しい家。彼女は自分たち自身が必要としているものの中から旅人に分け与えてくれたのだ。
おかえりという言葉は何も旅のおわりを意味する言葉ではない。
価格:
1,320円(うち税 120円)