GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.7 DOMICO

変化し続ける音楽シーンという“荒野”に足を踏み入れ、新しい音楽を生み出そうとしている次世代のアーティストを紹介。第7回は2ピースで鳴らすサウンドが中毒性抜群のドミコ

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI 
TEXT: ITAKO JUNICHIRO




DNA MUSIC
ドミコの雑食性の高い音楽性を形作った30曲


カントリーやフォークから宅録からシューゲイズまで、ドミコのソングライター・さかしたひかるが血肉化してきた30曲



INTERVIEW
“頭”ではなく“耳”で聴いてもらいたい


さかしたひかる(Vo&Gt)と長谷川啓太(Dr)からなる2ピースバンド・ドミコ。バンド結成のきっかけは、大学を卒業し事務職の仕事に就いていたさかしたが、ある時スタジオに入って曲を作ってみようと思い立ったことだった。

「通っていた高校が進学校だったこともあり、大学に進学して就職するまでレールが敷かれているような感じだったんです。自分もその流れに乗ってなんとなく就職しましたが、働き始めて一カ月で飽きてしまった。毎日のように飲み歩いて稼いだお金を浪費する日々もそれはそれで面白かったけど、ふとした瞬間に、こういう生活をあと何十年も続けて俺は死んでいくのかな? と考えてしまって。それで一度ちゃんと音楽をやってみたいと思い、長谷川とスタジオに入りました」

それまでバンドを組んで活動したことがなかったさかしたにとって、スタジオで音を鳴らすことは発見の連続だったという。

「学生の頃からギターを弾いて短いフレーズやリフを宅録で作ったりはしていましたが、作曲の仕方なんてまったく知りませんでした。スタジオに入り始めた当初は長谷川とお互いにフレーズを出し合いながら2時間ぐらいぶっ通しで延々セッションしているような感じでした。そうやって試行錯誤していくうちに曲の作り方もわかってきて、ドミコらしさのようなものを掴んでいったような気がします」

ドミコのサウンドは耳に残るリフやフレーズがラフでルーズな質感の音で鳴らされ、そこに人懐っこいメロディが絡んでいく構成のものが多い。キレイに整えられた音や楽曲が量産されている今、シンプルながらも中毒性のある彼らの楽曲はとても新鮮に感じられる。

「わかりやすいフレーズやリフが元々好きだったということもあるけど、そもそもポップソングにはキャッチーさや説得力が必要だと思っていて。逆に言えばそのポイントさえ押さえていれば他の部分では自由なことができる。曲を作る時には明確なゴールを設定して作っていくこともあれば、自分でもどうなっていくかわからないままに作っていくこともあります」

シューゲイザー、サイケ、ガレージ、フォークなど様々なジャンルのエッセンスが散りばめられた彼らの楽曲からはバンドのルーツが見えづらいと言われることもあるという。そして、さかした自身も「ドミコの音楽が今後どうなっていくかは自分にもわからない」と語る。

「計画立てて物事を進めることが苦手なんです。たとえば来週の火曜に吞みにいこうと誰かに誘われたとして、その時点で予定が空いていても来週の月曜まで返事を待ってほしいと言います。それで当日になって気分が乗らなかったら断ってしまったりする(笑)。だって来週の火曜に自分が酒を吞みたいと思うかどうかなんてその日にならないとわからないじゃないですか。常に自分が“今”何をしたいかが大事なんです。曲を作っていても急にこのフレーズを入れたいと思ったらその場で曲がどんどん変化していくことも多々あります。その結果、ドミコの曲はすごく雑食性が高いものになるのかもしれない」

その時々の気分や衝動を音に落とし込んでいる一方、歌詞についてはこだわりが強いという。

「歌詞のストーリーや内容についてはそんなに執着はないんですけど、メッセージ性みたいなものは極力歌詞からは排除したいと思っています。だからあえてまわりくどい言い回しを使うこともあります。自分たちがやっているのはあくまで“音楽”なので、言葉の意味が聴き手の印象に強く残ってしまうのはイヤなんです。メロディや音と同じように言葉も“頭”ではなく“耳”で聴いてもらいたいんです」

好奇心の赴くままに飄々と音楽と戯れる。それがドミコの最大の魅力なのかもしれない。





ドミコ 2011年結成。これまでミニアルバム2枚とフルアルバム『soo coo?』 『hey hey, my my?』を発表。今年3月にはSXSW Japan Niteに出演し、全米6カ所を回るツアーも成功させた。www.domico-music.com

ドミコ Spotify オフィシャルアカウント




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