GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.6 odol

変化し続ける音楽シーンという“荒野”に足を踏み入れ、新しい音楽を生み出そうとしている次世代のアーティストを紹介。第6回は歌心と実験的なサウンドを探求するバンド・odol

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI 
TEXT: ITAKO JUNICHIRO




DNA MUSIC
odolが考える、時代を超えて残る
音楽に対して誠実な30曲


ビートルズ、YMOからレディオヘッド、くるりまで。odolのメンバー6人が敬愛するポップミュージックの地平を開拓してきた名曲たち



INTERVIEW
誠実に音楽をやるしかない


地元福岡の中学で同級生だったミゾべリョウ(Vo,Gt)、森山公稀(Pia,Syn)を中心に結成されたodol。彼らはこれまで2枚のアルバムと1枚のEPをリリースしているが、作品ごとにその音楽性は変化/深化しており、特定のジャンルやシーンに容易に位置づけることは難しい。

「最初に『odol』というアルバムを出した時にはシューゲイザー的な音で、でも歌メロもあってレディオヘッドみたいだねと言われ、セカンドの『YEARS』では王道の日本語ロック、たとえば、くるりやフジファブリックのようだと言われて。そう言ってもらえるのはとても光栄だけど、僕らとしては音楽的なジャンルや括りにはこだわりはないし、周りがそう言うならそれが正解なんだろう、という感じです。今もどんどん音楽的に更新されていて、今後どんな曲が生まれるかは未知数なところがある」(森山)

しかし、どの作品を聴いてみても一貫して感じられるのは、メロディの美しさとミゾべの切実な歌声によって醸し出される「歌」の強さだ。

「不特定多数の人に向けてというよりは、誰かひとりに向けて、何かひとつのことに対して歌を届けたいという意識は強いと思います」(森山)

「楽曲に歌が入っている以上は、自分の独白のようなものではなく、誰かに聴いてもらうことを前提に歌詞を書いているし、20年後、30年後に聴いても古いと感じさせない普遍的なことを歌いたいと考えています」(ミゾべ)

odolはこれまで人が生きる過去現在未来の“時間”と、その中で生じる人と人の心の“距離”の機微を歌にしてきた。それが顕著に表れたのがモラトリアムの終わりを描いた『YEARS』だった。この3月、彼らはそうしたバンドの本質をよりポジティブに描いた「時間と距離と僕らの旅」という配信シングルをリリースした。

「2016年の5月に『YEARS』を出して以降、自分はどんなことを歌にして、それを誰に対して発表すればいいのかわからなくなってしまって。そんな時に『時間と距離と僕らの旅』ができて、自分はずっと時間や距離、そしてその進む速さのことを歌っていたんだなと気づいたんです。そこからは自分の生活や人生で感じたことを素直に言葉にすればいいんだと思えるようになりました」(ミゾべ)

ミゾべがodolで歌うべきテーマを模索していた時期、バンド内ではサウンドの作り方についても試行錯誤があったという。

「以前は気持ちよく演奏できればよし! という感覚で無邪気に音楽を作っていたんですが、バンドが停滞した時期にいろんなことを話し合って。それ以降は大人になったというか、たとえば一音一音が鳴る意味により敏感になり、レコーディング前のプリプロなどの作業に重点を置くようになりました」(森山)

odolの6人は誠実に音楽に向き合おうとしている。そのことを彼らの楽曲、そしてミゾべと森山の言葉から強く感じる。

「ノリや勢いでいける人たちへの憧れもあるけど、自分たちは誠実に音楽をやるしかないということはわかっていて。去年の『視線』というEPでは、“世界は各々の人間の主観でしか存在しない。だから本当の意味で他者に共感したり、何かを共有することはできないのかもしれない”という悲しみの中で音楽を作りました。だけど、それでも誠実に他者と向き合い、何かしらの救いを求めて自分たちがアクションを起こし続けてみる。そこで感じたことを音楽に昇華させていけたらと思っています」(森山)

「歌詞に関しても自分の主観だけでなく、自分ではない誰かのことを描くということに挑戦できれば、より色々なことを表現できるのではないかと考えています」(ミゾべ)

誠実に生きる人間たちが奏でる誠実な音と歌がこの先に描き出す景色に期待したい。




odol 東京にて結成されたロックバンド。2014年にはフジロックの“ROOKIE A GO-GO”に出演し注目を集める。2016年に早川知輝(Gt)が加入し現在の6人体制に。3/14、配信シングル「時間と距離と僕らの旅」をリリースした。http://odol.jp/

odol Spotify オフィシャルアカウント




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