GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.3 The Wisely Brothers

変化し続ける音楽シーンという“荒野”に足を踏み入れ、新しい音楽を生み出そうとしている次世代のアーティストを紹介。第3回はスリーピースバンド・The Wisely Brothers

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI  TEXT: ITAKO JUNICHIRO




DNA MUSIC
The Wisely Brothersを育てたワールドワイドな30曲


日本、アメリカ、イギリスだけでなく、ブラジル、ジャマイカ、インドまで。The Wisely Brothersがそのエッセンスを吸収した世界各国のシンガーソングライター、バンドの楽曲たち



INTERVIEW
3人のありのままを音にしたい


高校の同級生3人で結成されたThe Wisely Brothers。夢を抱き音楽を始めたというよりは、友達同士でご飯を食べにいくようなノリでバンドを始めたのだとボーカルの真舘晴子は言う。

「活動を始めた頃は、なんとなくそのうちバンドらしいバンドになれるかなと思っていたんです。でも徐々に、いわゆるバンドシーンみたいな中に自分たちは上手く溶け込んでいけてないな、と気づいて(笑)」

他のバンドにはない自分たちの個性を見出し、シーンの中に埋没することを避けたいと考えるのが普通に感じるが、彼女たちはその流れを逆行するような形で、自分たちの個性を見つける。

「こんなちっぽけな3人だけどありのままでいることが一番大事なんじゃないかなと考えるようになりました。余計なものは全部取り払って、この3人が一番出したい音、歌いたいことを形にする。私にとっては3人でバンドをやっていることが、生きていてよかったと思えるぐらいかけがえのないことなんです。最近は曲づくりもみんなでやることが多いです。スタジオで2人に何かしら音を出してもらって、それに合わせて私が自由に歌を乗せていく。ひとりで作るよりも、そのほうが想像もしなかった面白いメロディや音が生まれてくるんです」

そうして生まれたThe Wisely Brothersの曲はまるで、私たちの日常に寄り添い、目に映る景色にやさしい色をつけてくれるサウンドトラックのように聴こえてくる。もしかしたらそこには真舘が幼い頃に接した音楽や映画といったものが影響しているのかもしれない。

「父が音楽好きで、家ではよく音が鳴っていました。たとえば、日曜日のお昼には、日曜日のお昼らしい曲が流れていて、同時に掃除機の音も聞こえてきて。生活の中に音楽がいつもあったのかもしれないです。他にも映画やデザインのポスターも家にはたくさんありましたし、今思うと、ものすごい情報量を無意識のうちに吸収していたのかもしれないです」

The Wisely Brothersの魅力のひとつに、不思議と耳に残る真舘の歌声がある。

「いろんなアーティストの歌声を聴いてみて、声も楽器のひとつなんだなと思うようになりました。その中で自分の好きな歌声のタイプというのもわかってきた。でも、自分もそういう声で歌いたいということではなくて。自分の歌声をたとえるなら、リコーダーやクラリネットといった笛のようなものなのかなと思います」

声量があるわけではないし、主張が強いわけでもない真舘の歌声、そしてギター、ベース、ドラムというシンプルなフォーマットで紡がれるThe Wisely Brothersのサウンドには“揺らぎ”がある。それは決して不安定さというものではなく、とても親密で、心地いいものだ。そして、そうした揺らぎは計算して出せるものでもない。3人だからこそ生まれる揺らぎ、それこそがこのバンドのバンドらしさなのだと思う。

「たしかにそうかもしれないです。最初にも言いましたが、自分たちのありのままを音楽で表現したいと思っているから、キレイに整えられた音を録ってしまったら、それはThe Wisely Brothersの音楽ではないのかもしれない」

真舘はさらに言葉を続ける。

「今振り返ると、誰にも知られず3人だけで音を出していた頃はバンドの何を楽しんでいたのかな? と思うぐらい何も考えていなかったかもしれない。でも少しずつ聴いてくれる人や応援してくれる人が増えてきて、今は私たち自身が最大限に音楽を楽しみたいと考えるようになりました。そのためにはどんどん曲も作りたいし、練習もしなきゃいけない。支えてくれる人たちがいたからここまで続けてこれたし、私たち3人の人生をバンド、音楽へと向かわせてくれているんだと思います」



The Wisely Brothers メンバーは真舘晴子(Vo,Gt)、渡辺朱音(Dr,Cho)、和久利泉(Ba,Cho)。2014年『ファミリー・ミニアルバム』でデビュー。最新作は7インチ「The Letter」。2018年2月、1stフルアルバムをリリース予定
https://open.spotify.com/artist/11Cpz0a2etAGYbvCW6xLmb




ページトップへ