SWITCH INTERVIEW ―― ユースケ・サンタマリア「一年坊主、二年角刈り、三年自由」 ~後編~ 2page

写真・浅田政志


「大分の実家には帰ってますか?」

「とんと帰ってないです。この間、弟の結婚式で久しぶりに帰ったけど、実家には寄っていないです。マンションだし、部屋はかあちゃんの着物置き場になっているんで、人ん家のニオイで、懐かしさもない」

「やっぱり東京が良い」

「住むには東京が最高です。仕事場も近いし。大分はもう、帰る感覚ではなくて、ちょっとお邪魔するみたいな感覚です」

ユースケさんには、事前にリクエストして、大切にしているものを持って来てもらっていました(写真に写っている白い馬の置物)。

「馬です。家に飾ってる」

「どこで手に入れたんですか?」

「軽井沢でふらっと入った雑貨屋で買いました。触って気づいたんだけど、木彫りだった」

「粘土か、石の彫刻みたいで、ぱっと見、木に見えない」

「そうなんです。馬は幸運を呼ぶっていうじゃないですか。ハッピーホースっていうくらいだから。俺に幸運をくれとまでは思わないけど。それから馬の雑貨をもらったりして、コレクターではないけど、家に馬の置物が何体かあります。これは白い家具の上に置いてあるので、家具と同化してます」

「本物の馬も好きですか?」

「本物の馬だと困るでしょ、家で飼えないし。あと馬は番組で一回乗ったことがあります」

「どこで?」

「東京の代々木にある乗馬クラブで」

「明治神宮のところだ」

「そうです」

「乗れましたか?」

「馬はケンタウルスのイメージがあって、馬の背骨が俺の背骨に合体しているイメージで乗ったら、すぐに乗れました。そしたら『最初から乗れる方なんていませんよ、ぜひうちに来てくださいって』言われまして」

「それで通いはじめた?」

「いえ。バカみたいに値段が高いの。そこにいるのは、金持ち風の、普段は見ないような人ばかりでした」

「他に動物は?」

「犬を飼ってます。馬もそうだけど、人間に忠実じゃないですか。基本的に友好的ですよね。そういう動物が好きです。馬も目が優しい。猫もいいけど目が怖いでしょ、ちょっとぶっとんでたり。人間もそんな感じで目を見て判断します」

ユースケさん、休みの日はなにをしているのか、気になって訊いてみました。

「休みの日は、なんにもしてないです。一日中掃除をしたり、ひきこもりではないけど家から出ない。温泉とかにも行かない。温泉よりも入浴剤を探したりしてます」

「本当に温泉が苦手なんですね」

「湯あたりするんですよ。みんな温泉に行くと、普段やらないような入り方するでしょ。本当の湯治は、初日三分、翌日五分、七分、十分、一週間くらいで体を慣らして入るんです」

「さすが大分ですね。湯の入り方に詳しい」

「でも俺は、温泉入ると体調を崩しちゃう、体に悪いんじゃないかって」

「お酒は?」

「お酒は飲みません」

健康に気を使わないで、使っているような健康法なのでしょうか。最近は映画『あゝ、荒野』で、ボクシングのトレーナーを演じるため、ボクシングジムに通っていたそうです。しかし「ボクシングは腰を悪くします」と話していました。その後、白い置物の馬を持ちながら写真撮影をしていると、「それにしても、この馬がこんな活躍する日が来るとは思わなかった」と話していました。わたしは、ユースケさんの放つひと言がどんどん面白く思えてきて、きっと高校時代のミステリアス感は、このような感じだったのではと思いました。さらに「温泉嫌いだ」「海が嫌いだ」と話しているけれど、それは斜に構えているわけではなく、ヘンテコな真っ直ぐさがあり、それがユーモアにもなっていて、そこにもミステリアス感がある。つまり、ユースケさんの魅力は、得体の知れないミステリアス感なのではないかと思ったのです。


ユースケ・サンタマリア 1971年生まれ、俳優、タレント。2000年ドラマ『花村大介』で連続ドラマ初主演。音楽バラエティ番組『桑田佳祐の音楽寅さん ~MUSIC TIGER~』で人気を博する。05年公開の映画『交渉人 真下正義』で映画初主演、第二十九回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。08年は初監督ショートフィルム作品『R246 STORY-弁当夫婦-』、最新映画は『泥棒役者』公開中

戌井昭人 1971年東京生まれ、作家、パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の旗揚げに参加、脚本を担当。『鮒のためいき』で小説家デビュー、2013年『すっぽん心中』で第四十回川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で第三十八回野間文芸新人賞を受賞。最新刊は『ゼンマイ』


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