GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.1 ニトロデイ

変化し続ける音楽シーンという“荒野”に足を踏み入れ、新しい音楽を生み出そうとしている次世代のアーティストを紹介。第1回は十代のロックバンド・ニトロデイ

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI  TEXT: ITAKO JUNICHIRO




DNA MUSIC
ニトロデイを生んだ英詞のロック30曲


Sonic YouthからRadioheadまで――。80〜90年代のオルタナ、グランジを中心にバンドの音楽性に影響を与えたアーティストたちの楽曲が勢揃い。2017年の今だからこそ新鮮に聴こえるサウンドがあるはず。



INTERVIEW
音楽が好きな時もあれば嫌いな時もある


荒々しく歪むギターを中心としたローファイなバンドサウンド、焦燥に駆られ何かを絞り出すように叫ぶ歌声。まるで90年代のグランジ、オルタナを彷彿とさせるニトロデイの音は2017年の今、未知なる輝きを放っている。平均年齢18歳の4人組バンドは高校の軽音楽部から派生して生まれ、結成してまだ1年半しか経っていない。作詞作曲を担う小室ぺい(Vo&Gt)はひとつひとつ言葉を探すように自身のバンドのことを語ってくれた。

「ベースの松島にNumber Girlのファーストアルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』を教えてもらって聴いた時に衝撃を受けました。音像、曲の構成、歌い方……それまで聴いてきた音楽とは何もかもが違っていてびっくりしたんです」

そこから小室は様々な音楽を掘り始め、現在のニトロデイの音楽性が培われた。

「今はどんな時代の曲もすぐに聴けるじゃないですか。だから音楽に古いも新しいもないというか。聴いている時はカッコいいか、カッコよくないか、そのことしか考えていない。だから今はまだ音楽の歴史とか系譜とか、そういうことにはあまり興味がないんです」

十代の無垢な直感に訴えかけてきた数々のバンドの曲をコピーしていたという小室だが、ある時自分自身で曲作りを始める。

「人が作った曲は難しいし、ギターの練習するのもだんだん煩わしくなってきて。それなら簡単に弾けるような曲を自分で作って演奏すればいいんだと思って作り始めました。当初はバンドの演奏は全然ダメでしたけど、曲自体は悪くないんじゃないかな、とは思っていました」

ニトロデイの音楽の大きな魅力のひとつは小室が書く歌詞だ。わかりやすいメッセージや主張などはまったくない。彼は日常の中で目にした風景や簡単には言葉にできない自身の感情を観察し、それらを淡々と描写していく。

「曲を作り、メロディができる。そうして生まれた楽曲全体の雰囲気に合う言葉をひたすら重ねていくんです。だからメッセージとかは特になくて。でも今はまだ、ただ言葉を重ねているだけのような気もしていて。メロディや音ともっと一体化したような歌詞を書けるようになりたいと思っています」

小室はバンド活動以外に短歌も詠んでおり、今年の夏には全国高校生短歌大会にも出場した。文芸部の先輩から声をかけられて数合わせのために歌会に参加したことがきっかけだったが、短歌の世界に接したことは彼にとって大きな気づきをもたらしたという。

「始める前は侮っていた部分もあったんですけど、やってみると奥が深いことを知りました。短歌の難しいところは普通のことを言っても面白くないということ。だから表現も捻らないといけないし、歌のリズムもあるのでそれに合った言葉を選ばなくちゃいけない。しかも文字数も限られているので、たくさんの情報を詰め込むこともできない。だから一字一句、とことん考え抜いて詠まなければいけないんです。そういう経験をして、歌詞を書く時にも言葉に対する慎重さを持つことができたと思います」

ニトロデイは今年7月に『青年ナイフEP』で十代にしてデビューを果たした。端から見れば順風満帆に映るだろう。しかし、小室自身は音楽に対しての躊躇いも感じているという。

「音楽をやることが自分にとってどんな意味があるのかまだわからない。音楽が好きな時もあれば嫌いな時もあるんです」

17歳、様々な思いを抱え揺れ動く季節の中、それでも彼は最後にこんな言葉をふと口にした。

「後々にまで残る名盤を作りたい」

近い未来、ニトロデイはそんな1枚を作ってくれるはずだ。


ニトロデイ 小室ぺい(Vo&Gt)、松島早紀(Ba)、やぎひろみ(Gt)、岩方ロクロー(Dr)からなる十代のロックバンド。7月『青年ナイフEP』でデビュー。11/29には7インチ「青年ナイフ/アルカホリデー」をリリースする
https://open.spotify.com/artist/4AjzuiHaLa2FjngUldW4e5







ページトップへ