10 days 行商日記 in New York #day7


10 days 行商日記 in New York

今年6月、安西水丸さんのシルクスクリーン作品をまとめた『ON THE TABLE』が出版社Baciから刊行された。
Baci代表の内田有佳さんは新刊を胸にNYへと旅立った。
届きたてほやほやのNYでの行商風景をお届けします

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#7日目
日系書店のほうがハードルは高い!?




二度寝、9時半起床。少し疲れが溜まっているのかもしれない。今日も地下鉄Lラインにのってマンハッタンへ。このルートもだいぶ慣れてきた。

今日の吉報は、先輩ライターのMさんがRIZZOLIの担当者にアポイントを取ってくれたこと。Ms. Megan Hustonさん宛に本を届ければ検討してくれるという。実は、McNally Jackson Booksから届いた断りのメールにも、“RIZZOLIに持っていくことを薦めます”と書いてあったのだ。店を訪ねるとミーガンさん本人に直接、本を手渡すことができた。

RIZZOLIは数年前にアップタウンにあった店を閉店。映画などに出てくるシャンデリアが美しい店内は以前のものだ。今回訪れたのは、去年、フロアをコンパクトにしてマディソン・スクエア・ガーデンの近くにオープンした新店舗。

必死に英語で話していたため、RIZZOLIでの写真はなし……。ミーガンさんは穏やかな声で話すキャリアウーマンだった。




その足でRIZZOLIから2ブロックほど上がった場所にあるブライアント・パークへ。今日の最大のミッションは、この公園の目の前にある紀伊國屋書店ニューヨーク店に行くこと。リノベーションをしたオフィスビルの、地下1階から地上2階までを占める大型書店だ。2階はマンガやアニメなどが充実した、ジャパニーズカルチャーのメッカとなっている。

アポイントの前にブライアント・パークを歩く。ここは安西さんの小説『手のひらのトークン』にも登場する公園。安西さんが働いていたのは、ブライアント・パーク・ビルディングにあったデザインスタジオ。ビルは6th AVEと42Streetが交わる交差点にあったと書いてある。どうやら紀伊國屋書店が入っているビル群一体が、以前のブライアント・パーク・ビルディングのようだ。




ブライアント・パークはオフィス街の憩いの場。のんびり読書をしたり、食事をする人の姿があった。





公園の隣にはニューヨーク公立図書館。安西さんはよくこの階段で昼食を食べていたそうだ。私も階段に座って休憩。40年前はここからどんな風景が見えていたのだろう。






紀伊国屋書店では店長の高野さんにご挨拶。店内は想像していたより外国人が多い。ニューヨークに暮らす日本人のための書店と思っていたのだが、洋書ももちろん置いてあるし、日本の雑誌は海外でも人気が高いそうだ。





『ON THE TABLE』の取り扱いは、結果から言うと難しいとのこと。ニューヨーク店とはいえ、ここは日本の大型書店。取次を通す必要があるという。取引の手間や送料の面からしても、もっともな話だ。高野さんは4200円の本を海外で売ると、大体65$程度になるのでは? とも話してくださった。

安西さん縁の地ということもあって、本を置いていただきたかったが、仕方がない。日系の書店さんだから……と甘く考えていたことを反省。





それから数日前に行って定休日だったBook/Shop NYC店Dashwood Booksへ。Book/Shop NYCは、実際に行ってみるとアパレルショップの一角にあるポップアップストアだった。本の量は少ないけれど、実物を見てみたかったシェルフやブックスタンドがあって満足。ただ、Book/Shopのスタッフは基本的に店にはいないという。




というわけで、この店のオーナーに本を預けることに。9月の半ばにオークランドにある本店からスタッフがやってくるので渡してくれるという。ありがたい。



そこから徒歩3分の距離にあるDashwood Booksは写真集専門の有名店。今回の行商リストには入れていないが、一度は来てみたかった書店だ。半地下にあり、ガラス張りで店の中が伺える。カウンターには雑誌などで見かけたことのある店主の姿が。深呼吸して扉を開ける。そこからはめくるめく時間。本棚は隅々まで気が行き届いていて、とても気持ちのよい店だった。1時間ほど滞在して写真集を一冊購入。店主が、履いていたストライプのパンツを褒めてくれた。




夕方、Wifiをキャッチしてメールを確認すると、マクナリージャクソンのMitsuさんからメッセージが。なんと、バイヤーのカーリーが取り扱いをOKしてくれたという! 今日はもう店を出てしまうので、明日の夕方までに本を持ってきてほしいとのこと。

感謝の気持ちと興奮をどうにかメールにまとめて、送信。その後は気持ちが落ち着くまで、何も考えずに街を歩いた。今でもこの時のメールを読み返すと言葉にならない。

ニューヨーク滞在も残すところあと2日だ。


つづく。

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《 INTERVIEW 》
-- 安西水丸『ON THE TABLE』ができるまで --
Baci 内田有佳さん

インタビューはこちら

《プロフィール》
内田有佳  うちだ・ゆか
1982年生まれ。編集者。Baci代表。 大阪芸術大学映像学部を卒業後、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのエディターとして活動する。2016年、出版レーベルBaci(バーチ)を立ち上げる。
http://bacibooks.com/




安西水丸
『ON THE TABLE』
2014年に急逝したイラストレーターの安西水丸。アトリエに残された作品を整理するなかで見つかった個展のためだけに制作された、シルクスクリーンの作品をまとめた一冊が完成。
詳細はこちら


《関連イベント》
『ON THE TABLE』刊行記念トークイベント

<出演>
前田晃伸(デザイナー・アートディレクター)
山杉夫(イラストレーター)
内田有佳(編集者・Baci代表)

ゲストは『ON THE TABLE』のデザイナーを務めた前田晃伸さんと、安西水丸塾で学んだイラストレーターの山杉夫さん。この美しい一冊ができるまでのストーリーや、安西さんの作品についてじっくりと語っていただきます。

<日程>
2016年9月23日(金)18:30 OPEN/19:00 START
<会場>
Rainy Day Bookstore & Cafe
東京都港区西麻布2-21-28 スイッチ・パブリッシングB1F

イベント詳細はこちら


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